スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

桃に蛇

姉の付き添いで行った脳外科は、新宿の高層ビルの4Fにあった。
一人の看護婦に目を奪われる。
あの女に、似ている。
あの女の肉親であると、そのとき私はどうしても思い込もうとしていた。
お姉ちゃんもお母さんも看護婦なの、と、云っていたではないか。
吉祥寺に住んで、新宿で働くことに、何の不自然もない。



溌剌とした挙措、患者への鷹揚ながら柔和な物言い、背中から腰にかけての肉付き、そして、あの眼だ。
名札を見ようと落ち着かない様子の私に姉が気づいた。
軽口で誤魔化そうとする。



「キャシー中島の若い頃に似てるね、あの看護婦さん」
「あはは、似てるわ」
「……好き。かなり」
「あんた昔から、3割ぐらい外人みたいな顔が好きだよね」
「うん」
「で、尻がでかい女」
「そうだったっけ?」
「そうだよ」



原千尋の無修正が出た。
サンプルに、相舐めに移ろうとする体勢の原千尋を、寝そべった男の視点で捉えた画がある。
尻から陰唇にかけての深みが剥き出しになっている。
それはあまりに露骨な光景だが、私が直接にエロティシズムを覚える数少ないヴィジョンのひとつだ。
深みは、より深いほうがいい。
深くあるためには、尻が大きくなければならない。



なぜその看護婦を、あの女の肉親であると信じなければならなかったのか。
いまはもう、あの女を求めていないというのに。
私は川原で、破滅が桃に詰まって流れてくるのを待っていた。
だがあの時に、取り逃がしたことだけは、いまははっきりとわかっている。
私はあの場所に溺れながら、桃が流れていくのを、ただ見ていた。
追いかけようとは、しなかった。
追わずにこのまま流れに身を委ねても、望んだところへ、蛞蝓のような破滅へ流れ着くだろう、とぼんやりと思っていた。
私は桃を下から眺めて、涎をたらしていただけの男なのである。
今日もまだ、じくじくと、動き出せずにいる。
涎があふれている。



独り過ごす時間が増えた。
ストーンして、音と小説に浸かっている。
いなくなってしまったあの男は、もう何に浸かることもできない。
彼の弟さんは、あの男の死に顔に薔薇をくわえさせ、鼻孔に煙草を差し込んで、家族を笑わせていたという。
素晴らしい、送り方だ。
私も、そうやって送ってやりたい。


 


Qよ。
あいつが蛇で、お前が蛙で、俺が蛞蝓だった。
三竦みは、奇蹟みたいなもん、だった、よな?
蛙がいなくなったなら、
俺も蛇になるしかないんだよな。
桃には何も詰まっちゃいないし、
一緒に腐っていくわけにはいかないんだ。

  1. 2007/04/11(水) 01:21:35|
  2. diario
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<ランサローテ | ホーム | homo sapiens>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://azulsangriento.blog84.fc2.com/tb.php/28-1dc6cb5f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)







soy


Aqui esta:
アスルサングリエント

Me llamo:
慈姑(クワイ)

A mi mismo:
この夜、凶なきか。
日の暮れに鳥の叫ぶ、数声殷きあり。
深更に魘さるるか。
あやふきことあるか。

twitter

hydlage reload

cronica

archivo

comentario

tb

buscar

calendario

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

conexion

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。