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六芒星

高校の同級生で、現在品川区の小学校の教諭をしている男と再会する。



高級住宅街に隣接する学区の公立小学校における、父兄との対し方の唖然とする状況を肴に
、随分呑んだ。



品川区は都の中でも別して教育に力を入れている(無論それは本質的に教育が結実していることと同義ではない)区であり、彼が配属された学校はその中でも私立が乱立する中にある、過酷な労働環境の小学校だという。
つまりは私立に入れなかった金持ちの子女が通う学校なのだ。
親達は優越感と劣等感がマーブルになった、非常に接しづらい大人たちなのだという。



一ヶ月に300時間労働している、という彼は、私がこれまでに見知った、同じくらい労働を強いられている水商売の男たちよりも極道の男たちよりもサラリーマンの男たちよりも、清清しい顔をしていた。



濃密かつ繊細な男前な彼は、高校の時分から飛びぬけてもてていたが、それを峻拒するポーズを取り続けていた男だった。
彼は女の子と遊ぶことによる女の子への影響を、畏れるふしがあった。
惚れてしまえば、一生を引き受ける懐の男である。
それゆえ、遊び方を知らなかった。
私にそれを悟られているような気がしていることも、彼は知っていた。
彼も私も、「津軽の男」なのである。



子をどう育てようと思っているか、と、抽象的な質問であることを恥じているような様子で、彼は私に訊いた。



子の成長のスピードに、私の情報処理能力では追いつかない、よってタイミングを見計らって、岐点に助言なり歯止めなり後押しなりをしてやる、そのタイミングの見極めには自信があるし、その見極めこそが、私が唯一子に伝えられる、「私が生きてきて学んだこと」なんだろう、と応えた。



久しぶりに話のわかる男に会った、と、彼は嬉しそうに笑った。



子供達は道を歩む。
頭がコチコチな大人にはともかく、子供に対しては、教師として「外してもいい」、とは云えない。
だが道の広さを教えてやりたい。
中央だろうが端だろうが、歩む道には変わりなく、それよりもそれを踏みしめる足が大事だ、と。



私はコッホ曲線のフラクタルを例えに、彼の形容に全面的に同意した。
コッホ曲線とは、以下のようなものである。
円に内接する正三角形の各辺を三分割し、真ん中の線分を一辺とし基の三角形に外接する正三角形を描く。
すると第一段階ではいわゆる「ダビデの星」「六芒星」となる。
その外側の各三角形で、同じことを繰りかえす。
すると六芒星にどんどん毛が生えていく感じになる。
これを無限に繰り返すことで、線は「無限に」増える(円の外周にも互いの線分にも決して交わることがない)。
つまり円の内部という有限の二次元の内部に、無限な二次元が存在することとなる(円の内部にある図形は、決して円の面積を超えることがないにもかかわらず、無限、なのである)。
次元で括れないもの、それこそがカオスであり、カオスこそ、生き物が自然の一部である証である、と。
次元とは、人が人を定義する、ということに通じる。



会話は尽きることがなかった。
すこぶるいい気分で、帰路についた。



終電車の一本前に乗り込んだのだが、家に近い駅の四駅まえで、寝ぼけたままコートを脱ぎ去り、下車してしまった。
終電車で駅に降り(私のホーム駅は深夜は終着駅である)、コートが届いていないかを尋ねた。
「どういったコートでしょうか」
「右のポケットにはバービーボーイズの『はちあわせのメッカ』が再生途中のiPod、左のポケットには少し血のにじんだティッシュペーパー、内ポケットには五十数頁に栞の挟まれたコンラッドの『闇の奥』が入っています」
「それなら届いております。サインをどうぞ」
という仕儀で、コートを取り戻すことができた。



コートを着て、帰ってきた。

  1. 2007/03/08(木) 02:30:35|
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