スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ムルロアの収納/暗渠

妻の誕生日に、ハンガリー製のグラスとヒステリックグラマーのジーンズを贈った。
自ら包装し、北千住ハルエグレースのケーキを添えた。
突出して旨いケーキ屋を知っていることを恥ずかしく思った。
深更、子らを寝かしつけたまま寝入った妻の代わりに、皿を洗う。
洗い終え一息ついて、給湯器のスイッチに手を伸ばしたら、俎板に触れ、倒れた。
俎板の真ん前に、贈ったグラスがあった。
グラスはゆっくりと倒れた。
淵に罅が入った。


そこから数日私は脱力したが、それは妻への申し訳なさとも、己への不甲斐なさへの慙愧とも違う、ゆくりなく膝が笑うような、実存の覚束なさににやにやする類の脱力だった。


 


西村賢太「暗渠の宿」を読了。


ああまだいたんだな、「文士」が、と揶揄をこめて冷笑できたのははじめのうちで、買淫の裡に「普通の恋人」を探しあぐねる経緯に、身につまされる息苦しさを覚え、大正の文士に帰依し、新宿に拘泥する日々の描写に、耳朶の裏に汗をかき、女に暴力をふるう視点のゆるぎなさに、私が決して書けなかった「私」を暴かれた思いで、歯の根が揺れ、耐え難く不快で、堪らない、快感を覚えた。


作者がその人生以上のもの(というものを設定していることをそのまま受け止めなければ、この作家は理解できない)を捧げている藤澤清造という作家を、私は読んだことがない。
だが同時代の葛西善蔵と嘉村磯多には20歳前後に足許を揺るがされた経験があるので、鴎外からも漱石からも太宰からも三島からも得られぬ苛烈な読書体験を作者が得たことは、朧ながら想像がつく。


芸術そのものにではなく、芸術にゴーストを賭すことに憑かれた男にとって、女はどういった役割を果たすか、ということが、これまで誰もが避けていたやり方で晒されているのが、この小説である。
数年前の芥川賞受賞作、吉村萬壱「ハリガネムシ」は、「露悪」から一歩も出ていない、何にも賭していない作品だった。
(その作品の良し悪しをめぐって早稲田の哲学科の大学院生とネット上で論争をして、私の無学さと「ルサンチマン」を徹底して指摘する彼に、何やら愛情めいたものを覚えながら、逃げたことがある)
車谷長吉の諸作は、露悪を衒いながら決して露悪になりえない、民芸品のような艶がある。
西村賢太は、善悪の彼岸にいる。
大正の貧乏文士オタクでありながら、現代の「文学青年」と対極に位置しているところが、特異なのである。


だが、彼は、もっとも恥ずべきことを、書いていない。
それを見抜く眼を、私は私の師から得た。



文学に価値があるとすれば、それは「身につまされずに済む」からだ。
同じ意味で、己も騙されるほどの身につまされる演技を、誘われるからだ。


読書とは、他人にものを考えてもらう行為である、というショーペンハウアーの箴言は、普遍である。
私はなんとか、「身につまされずに」済んだ。
私も善悪の彼岸にいる。


ただ、やりたいことがある、ことが、羨ましい。
私には、ほんとうに初めから、何もやりたいことがなかったのだ。


 


町田康「脳内シャッフル革命」所収の「ムルロアの収納」という曲を繰り返し聴いている。

養生したサッシの向こう側でポーズ
窓の中にエアコン室外機
核戦争に備えてポーズをとってブルースを歌え
ファンタジーがいつでも心に乱暴するんだ
ポエジーがいつでも心に進出するんだ
暴力で輝いてた僕ら
核戦争に備えてローンを組んで君が代を歌え


 


札幌すすきの出身のAV女優に精液を飲ませたことがある。
その女性の最新作のプレビューで自慰をした。

  1. 2007/02/22(木) 23:59:55|
  2. libro
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:2
<<アンテナ | ホーム | 幻の女>>

コメント

むるろあって

なんなんでしょうね。シャッフル革命の中で一番いかしたリリックだとおもいます。
  1. 2011/09/17(土) 01:26:11 |
  2. URL |
  3. taq #OtFY5e9k
  4. [ 編集]

いらっしゃい。こんな死にかけたブログにようこそ。

核戦争に備えて、なのでムルロア環礁のことなんでしょうね。
「クイズに答えて」も好きですが、大体しょうがないですね、あのアルバム。
  1. 2011/09/18(日) 22:29:30 |
  2. URL |
  3. 慈姑 #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://azulsangriento.blog84.fc2.com/tb.php/20-869675dc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

暗渠について

暗渠溝渠(こうきょ)とは、主に給排水を目的として造られる水路のうち小規模な溝状のものの総称である。そのうち公共用水域にあるものは「公共溝渠」(こうきょうこうきょ)と呼ばれる。その状態等により、開渠(かいきょ)・明渠(めいきょ)、暗渠(あんきょ)、側溝(そ
  1. 2007/03/02(金) 14:47:48 |
  2. 水関連いろいろ記述







soy


Aqui esta:
アスルサングリエント

Me llamo:
慈姑(クワイ)

A mi mismo:
この夜、凶なきか。
日の暮れに鳥の叫ぶ、数声殷きあり。
深更に魘さるるか。
あやふきことあるか。

twitter

hydlage reload

cronica

archivo

comentario

tb

buscar

calendario

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

conexion

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。