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down to the crossroads

受精させなくても遺伝的影響を与えうる、って説が流行っとるみたいでな、とその男は云った。
それがほんとなら、俺らも世界に拒まれてない、って思わんか?


手コキの店にしか行かんのは、精神力を使わなくて済むからや。
口と手だけ。女には触りたくない。
金と体力はあるからな。消耗したくないのは精神力だけよ。
お前は逆か。はは。


泥がな、とその男は云った。
男が注文した、海老だけの天麩羅盛り合わせが冷えていく。
男はメニューを見ないで、喰いたいものを注文する。大抵、メニューにないものが運ばれてくる。
私はメニューをじっくり見て、酒しか頼まない。


ビル街の底の、ガラス張りの店だった。私は寛いでいた。ビルを見ているのが好きなのだ。
泥がな、沁みてく。悪ーいことを飯の種にしとるとな。洗えんとこに沁みてく。
洗われた感覚になることもあるで。
有罪の判決が出たとき。そん時だけ。
懲役何年に処す、って聞いたら、あーもう追われないんや、って泥がすーっと引いてった。
それでも残っとるで。内臓の奥のほうに。
残ってるから戻ったんやろな。


お前、俺が突然堅気になりたい云うたら、何て思う?
無理すんな、って云うだろうな、と私は云った。
そやろ、おんなじやん、と男は笑った。
私も笑った。


お前はえらい爆弾踏もうとしとるな。
俺だったら怖くてようせんわ。


爆破させにゃならんかったら、させりゃいいわ。
ただな、着地点の計算、お前だったら先にできるやろ。
しといたほうがええ。泥の上に落ちんほうがええ。
計算してて爆破忘れるんやったらもっとええ。


10年前ぐらいに、池袋の深夜喫茶で話しとったろ。
あん時と、俺は変わった。
お前は、変わらんな。
あん時俺は道が要らなかった。
いま俺は道の先がほしい。
お前はあん時も今も、道から外れたい、ばっかし云っとる。


どうすりゃいいのかわからんな。
俺も一緒や。
いまに至る経緯を、俺らは把握しすぎとるのかもな。


新宿は豪雨だった。
タクシーの中で、また二人で旅行しないか、小学校ん時にさ、平山っていただろ、あいつがいまどこで何してんのか探しにさ、と私は云った。
そやな、と男は笑った。


私鉄の駅を出ると雨が已んでいた。
女の貌を思い浮かべようとしたが、思い浮かぶ貌がなかった。
煙草を買って帰った。
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  1. 2008/12/17(水) 03:20:13|
  2. diario
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:4

Whisper Me Your Number

風の死際 いつ出来上がる
瞳の奥 濁った鬼が棲む
醜いもの、美しい
美しいもの、醜い
風に呪いをかける
空に呪いを
空を呪う
災いあれ、災いあれ
汝の身に 数多の人に 眠る森に そして俺に

壁の向こうから 夏の匂い
安ワイン 冷蔵庫の音 ただそれの繰返し
希望の朝 冷たい水 拾ったパンの重さ
繰返す 繰返すのはお前の声
お前の声
お前の肌
ただそれの繰返し
聞こえるぜ
俺が生きてる音が

The Boogie Woogie Whisky  『Jump onto a Truck』



南千住駅で人が轢かれた。
三河島駅に停まったままの常磐線で、ひと駅先の屍骸と、北綾瀬で男を待っている女のことを想った。
どちらも妬ましかった。
身に沁みない寒さの東京の冬で、私は素手だった。


25歳の私が結婚に求めたのは、更なる閉塞感と、虚無と、具体的な懊悩や煩瑣と、逃げ場のない、己への呪詛だった。
創作の糧、という打算もあって、それは己を架空にする意志でもあった。
後悔という誤算は強引に決済できるつもりでいた。
決済しなければいけないときに、私も妻も決議権を持っていないことに気付いた。


明日私は、お前のところで働けるか、とある男に新宿で問う。
答え如何で――と窓に映る私の顔は、憔悴、というより、毒に冒された色をしていた。
答えを待ってはいないのだ。


金曜はあまりに幸福な夜だった。
土曜は眠ってばかりいた。
日曜は荒んだ気分だった。
月曜は少し刺激をもらった。


エピグラフは18歳の私が書いた歌詞だ。
まだ、聞こえている。
生きている音が。

  1. 2008/12/09(火) 00:30:46|
  2. diario
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

decayed / decade

愛してなんていないけど お前を抱きたい
夜明けまで 夜明けまで 離しゃしない
頭脳警察 『夜明けまで離さない』


2度目の上京は98年の12月で、21歳だった。
少しの間一緒に暮らした子の、ゴムマリのような身体の感触を憶えている。
顔は忘れてしまった。

雲丹や蟹をよく食べていた。池袋西武地階の魚屋で働いていたのだ。
飲みすぎて頻繁に失禁した。
イタリア食材売場の女性と、デビット・ホックニーやラウンジリザーズの話をしながら南池袋公園でワインを飲んだ。
駅の改札口で抱き寄せると、そうだよね、そうだよね、と云ってくれた。
彼女の部下の、ふじみ野に住む女子大生とセックスしたかったが、叶わなかった。

川越に越してから働くのをやめた。
酔って自転車に乗って頭蓋骨に薄く罅が入った。
その部屋で1晩に1箱のビールを飲んだ相手が、先夜触れた男だ。
小説の会に通い始めて、知り合った男に譲られた部屋は、新大久保にあった。

高所作業の仕事に戻ってからも、毎晩気を喪うまで飲んでいた。
音楽とストーンを教えてくれた男もいた。
平日の昼間に、韓国人向けの中古家具屋の2階で女を買って、セックスした。
彼女との出会いが、ここ10年で唯一の形而上学的変化である。
追う足が空回りして、次々と別の女を買った。

同じ部屋で恋人が妊娠した。
恋人が受精したその日の昼は、彼女とセックスしていた。
結婚式を挙げ、田端に越した。
長男が生まれる前の数日間は、有り金をはたいて上野でセックスを買っていた。

初めてネクタイを締めたとき、27歳で、すぐに2人目ができた。
その少し前に、彼女を見つけてしまっていた。
数ヵ月後に、メールアドレスを変えられた。
飲みすぎずに眠れるようになっていた。

茨城に家を買った。
いたるところに押した実印が重かったのは、眠かったからだ。
何度か恋をして、一人だけ、好きになってくれた女性がいた。


今夜、独りで映画を観てから帰ると、まだ起きていた長男が、来年の仮面ライダーの名は「ディケイド」というのだと教えてくれた。
decayed、か、と笑った。
decade、だよ、と長男が笑った。

明日で、10年。
そして明日は、彼女の誕生日でもあることを、思い出しても書かなければいいのに、と、いま私は書いている。

  1. 2008/12/03(水) 00:38:43|
  2. diario
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

霧の生まれる場所へ

覚醒剤のあと、は、祭りのあとや嵐のあとと同じく、コモンセンスがあるようで実はないものだ、と思いながら、覚醒剤のあとのような気分で日曜の午後を過ごした。

自転車に息子2人を乗せて坂を上ったら息が切れた。
息をすることを鬱陶しく感じている。
鬱陶しさが長く続いている。

炊飯器のピラフと冷凍ピザとカップヤキソバを3人で食べた。
お父さんは料理上手だね、と次男が云うので、皆で食べるとおいしいな、と応えた。
偽ビールを2本飲んだ。

自慰を止して精を溜めれば、牡の気が身体から発して牝が集まってくる、と、名も知らぬ男に云われたことがずっと引っかかっている。
引っかかっているなら実践してみればいいのだが、何年もできずにいるのは、発狂の惧れがあるからだ。
そう思っていたが、それなら発狂してみればいい、と思い直した。
その後で、発狂をつかさどりたがっていること自体が馬鹿馬鹿しい、とまた思い直した。

ある男の名で検索をした。
今も創っていた

私が投げ出したのは、「芸術」ではなく、「感覚すること」だったのだ。

まだ出会っていない女に、あなたも俺を慰められない、と呟く己の声を聞いた。
  1. 2008/12/01(月) 01:24:39|
  2. diario
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  4. | コメント:0







soy


Aqui esta:
アスルサングリエント

Me llamo:
慈姑(クワイ)

A mi mismo:
この夜、凶なきか。
日の暮れに鳥の叫ぶ、数声殷きあり。
深更に魘さるるか。
あやふきことあるか。

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