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homo sapiens

垂涎の人妻が斜向かいに越してきたというのに、明日への希望を捏造できないのは、加齢という漸進的なものではない、ゆくりないが核に近い、老いの状態に、いまの私があるからなのだろう。


 


大手PCメーカーでの勤務が唐突に終わりを告げ、派遣社員の皆が別れを惜しんでくれたことに、ほんの少しだが感動を覚えている己を慈しもう、と思った。


 


戦友が冗談のように死んだ。
冷静であろうと制御する己と、その通りに冷静である己のほかに、叫びだしそうなほど慌てふためいて、そのくせ何の言葉も発することのできない己がいた。


 


台湾の社長令息が、妻の妹の家にホームステイしていた。
兄は親に反発し学者の道を選び、弟も親に反発しヒップホッパーの道へ進み、自分は何もまだ決めていないから、親の言うとおりにクアラルンプールに留学し、工学の勉強をしているが、本当はJ・R・R・トールキンのような小説が書きたいんです、という18歳の男の子だった。
慣れない英語でのコミュニケーションは、端的に「生活」を享受していることによって日に日に眼つきの悪くなっていく己にとって、苦でもなければ愉しくもなかった。
彼が日本を離れる日に、初めて英文で手紙を書いた。
ステイフリーとか、テイクイトイージーとか書きながら、私の語彙の狭小さは、そのまま私という人間の底の浅さなのかもしれないと、妙に楽観していた。


 


初めて、妻と夜通し話し合った。
埒は、開かなかった。
開かぬまま時を過ごそうと、私はしている。
その選択に、確信を持てずにいる。


 


今日は次男と留守番をして、マリリン・マンソンのDVDを流しながら大麻を吸い、ビールを飲みながら川海老の空揚げと麻婆春雨と茸の和え物とサーモンの刺身をつくった。
斜向かいの美女は亭主と一緒に庭に何かの種を埋めていた。


 


Cooper Temple Clauseを、繰り返し、繰り返し。
何も、満たしても救ってももらえないのは、私が彼等だからなのだろう。


 


女性器だけ。
女性器だけなんだ。


 


眠らせてくれ。

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  1. 2007/04/08(日) 23:39:25|
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  4. | コメント:0







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この夜、凶なきか。
日の暮れに鳥の叫ぶ、数声殷きあり。
深更に魘さるるか。
あやふきことあるか。

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